ここは小谷太郎の 2002 年とかに読んだやつです
更新お知らせサービスだが、
希望者が複数おられたので始めることにした。
スクリプトを書くつもりもなく、
当分はすべて手作業の予定。
飽きたり負担になったらやめます。
じゃあそもそもどうしてこんな文章を頼まれたわけでもないのに全世界のみなさまの目に晒しているのか、
これがいったい誰の何の役に立つのかという、
第何次産業革命だか IT 革命だかを根本的に否定するような疑問は抱かないことにします。
「ブッダのことば スッタニパータ 」 中村元訳、岩波文庫
初期仏教においてブッダというのは単に求道者ぐらいの意味で、
その辺にごろごろいたのか。
ダライ・ラマとかなんとかラマとか、
ブッダの生まれ変わりがチベットの山の数ほどいるのはどうしてなのか不思議だったのだが、
そういうわけだったのか。
← ちがうって。
いや待てよ、
もっと根本的な疑問がわいてきたぞ。
いったいどうして輪廻転生から解脱したはずのブッダが生まれ変わるのだ。
実は悟って入滅するはずのブッダだったが、
沢田研二に「心残りがあるだろう」とかなんとか囁かれて転生し、
偉い親父に障害とかいうひどい名前をつけられたせいでエディプス・コンプレックスから抜けられない息子とバトルをくりひろげたのだろうか。
「腕をあげたな、息子よ」
「情けなや、親父。
浅ましき姿に成り果てて」
「問答無用、
そもさん!」
「せっぱ!」
← ちがうって。
「夜啼きの森 」 岩井志麻子、角川書店
フォークナーを読んで恐くて亜米利加南部に行けなくなり、
中上健二を読んで和歌山には足を踏み入れまいと決意したのだが、
岩井志麻子を読んでまたひとつ行けない場所が増えた。
問題は地理に不明な小谷には南部はともかく和歌山や岡山がどこに位置するのかわかってないことだ。
「人生カチカチ山 」 松田洋子、角川書店
松田洋子のギャグがいちいちわかるってのもなんだかなあ。
「魁!! クロマティ高校 1 」「2」 野中英次、講談社コミックス
池上遼一は水木しげるの弟子だというが、
そうすると水木しげる → 池上遼一 → 野中英次という順に日本の漫画は進歩してきたのだな。
素晴らしい。
``The Crook Factory '' Dan Simmons, HarperCollins Inc.
この結末はどういうことかといえば、
アーネスト・ヘミングウェイ本人によれば、
「『季節外れ』はごく単純な物語だが、
老人が首を吊るという真の結末が省略してある。
私の新しい理論なんだが、
作者がちゃんと省略したことを意識していて、
その省略が物語を強化して、
読者が理解する以上のものを感じるようになるならば、
なんでも省略していいんだ」
そうである。
でも読者としては理解する以上のものなんか感じるより、
エドガー・フーヴァーのファイルがどうなったか知りたいぞ。
「紅一点論 」 斉藤美奈子、ちくま文庫
過去の傑作に免じて赦してやろう。
今回だけだぞ。
エヴァなんとかはさまざまな点において女性性を強く感じさせるアニメでもあるなどと、
まるで頭の悪いファンかアニメに無知なヒョーロンカみたいなことを、
今度ほざいたら承知せんぞ。
それでも斉藤美奈子か。
「舞姫 テレプシコーラ 1 」「2」 山岸涼子、メディアファクトリー
山岸涼子はここ数年、
壮大な物語を予感させるプロローグをおっぱじめて、
三、
四巻で打ち切りのパターンが続いているからな。
でだしが面白くても油断はならない。
でだしって漢字で書くと「出出し」か。
「るるるるる 」 五味太郎、偕成社
実は絵本とか児童書の世界には 1969 年初版発行
2002 年ひゃくなんじゅうずりとかいうとてつもないベストセラーとかごろごろしてるらしい。
「9.11 」 ノーム・チョムスキー、山崎淳訳、文藝春秋
やはり小谷も自分のホームページを持つ現代の言論人 (ってなんだ)
の一人として、
9 月 11 日に関して凡庸な意見を発表しておかないとな。
この本、
副題に「アメリカに報復する資格はない」 とあって、
これでもう中を読まなくてもいいくらい実に的確な要約なのだが、
それでは 1143 円 + 税 + 5 ドル (原書もダウンロードした)
がもったいないので読むと、
「9 月 11 日の残虐テロはパレスティナ人にとって破壊的な一撃だ」
とか
「タリバン軍は、
そんなありさまだから、筋金入りの少数の核の部分はともかく、
たちまち崩壊するかもしれない」
とか、
チョムスキーの予言はびしばし当たっており、
もう平伏して帰依してしまいそうだ。
しかし無明な我々にそれではどんな道を指し示してくれるのかと期待すると、
ニカラグアが亜米利加の非道を国際司法裁判所に訴えてなんと勝訴したのだが、
亜米利加がその判決をあっさり無視してますます攻撃をエスカレートした例を挙げて、
「この (ニカラグアの)
道が国家の進むべき道である」 というんじゃなあ。
これほど先の見える賢い人にこれほど救いのないことをいわれたら、
悲しくなってまた駄文をアップして世のエントロピーを増やし、
宇宙の熱的死にちょっぴり貢献しちゃうですよ。
(変だな、
テロ反対戦争反対中東に平和をというまとめになってないぞ。)
訳文はおおむね正確で、
imperial (帝国主義的)
が「皇帝国家」 とかいうわけのわからないものになっていたり、
チョムスキーが侮蔑の念を込めて「リベラル派」 ジャーナリストと呼んでいるのになんだか肯定的に訳していたりというような部分はまあ少ないのだが、
この訳者不勉強なことに政治学者としてのチョムスキーをまったく知らなかったようで、
このチョムスキーとかいう人なんだかいいこと言ってるので読者諸君も読んでみるといいとか恥ずかし気もなくあとがきに書いてあって、
挙げ句の果てに自分はタイムズやニューズウィークを毎週欠かさず読んできて国際情勢について知識があると思ってきたとかのたまうにいたっては嗚呼なにをかいわんや。
訳が気にくわないなら原文で読めばいいって?
ごめん、
チョムスキーの文むづかしいんだもん。
「2 組のお友達。緑の本 」「橙の本」 一條裕子、小学館
ひとクラスしかないのになぜ 2 組?
「茄子 1 」 黒田硫黄、アフタヌーン KC
茄子は蛋白質もなく炭水化物もなく脂質もなくビタミンも大してなく、
ではなぜ人類は茄子の赤だしを啜るかといえばそれは旨いからにほかならない。
ところで亜米利加というところに住む亜米利加人という連中は、
でかいばかりでスカスカのかぼちゃや悪玉コレステロールで血管を詰まらせた豚が一等をとる品評会で培われた農夫のセンスで茄子を栽培し、
旧マックの爆弾マークと見粉うような大きさと形状の茄子を意気揚々と店先にならべてみせる。
その味は一度試したが、
舌が痺れるほどアクが強く、
二度は勘弁してという代物だった。
亜米利加人よ、
その茄子に存在意義はないぞ。
「事故はこうして始まった 」 S. ケイシー、赤松幹之訳、化学同人
亜米利加の話題が続くが、
やはり亜米利加のテクノロジーは日本より何十年も進んでいる。
作業員がバケツで核物質をくんで臨界まで逝っちゃった例の東海村の事故によって、
日本の原子力産業が実は工場制手工業によって営まれているという実情が被曝したが、
その程度のことは亜米利加でとっくに実践ずみだったようだ。
原子炉の炉心に挿入された制御棒がどこかにひっかかって動かなくなったので、
炉の上に乗った技術者たちが制御棒の端をつかんで、
せーので引っぱったらすっぽぬけ、
遮るものがなくなった中性子は原子核に衝突して分裂させ中性子を生み、
その中性子、
中性子を生み、
その中性子、
中性子を生み、
繰り返すこと 1024 回、
原子炉は暴走して爆発、
技術者は全員即死という事故が原子力開発期にあったそうだ。
死者の数で比べても、
日本はやっとそのレベルに到達したところだ。
スリーマイル島のような立派な原子力発電所めざしてがんばれ。
``THE MAXIMORTAL '' Rick Veitch, King Hell
スーパーマンが、
ちょんまげを結った 30 万の日本人などを殺戮する漫画。
この作者、
スーパーマンと DC Comics (当時は National Periodicals、
現在は AOL Time Warner entertainment なんとかの一部)
が憎くてたまらないらしい。
DC Comics の社長もスーパーマンとともに極悪非道い大活躍。
「スーパーマンの呪い」
とか題したあとがきではニーチェの超人思想まで動員してスーパーマンを呪詛しているが、
呪いにかけられているのはこの作者の方であろう。
いや立派。
``HOLDING WONDER '' Zenna Henderson, Avon
三分の二まで頑張って読み進んだのだが、
面白い話がひとつもなくてついに挫折。
ゼナ・ヘンダースンのような心優しい作家は自分の作品にも心優しく接してしまうのか、
どうも作品の平均が低くていかん。
あわててつけくわえておくと、
「なんでも箱」(絶版か?)
とかピープル・シリーズ
(最近再販されたとか)
のいくつかのエピソードは全人類の課題図書なので、
読んだことのない人はちゃんと読み、
読んだことのある人はもう一度読んで、
涙腺を攻撃されてくださいね。
「ひさうちせんせの人生ノ相談 」 ひさうちみちお、アスペクト
天才漫画家を 5 人あげろといわれたら、
ひさうちみちおがその一人に数えられるのは間違いない。
間違いないったらない。
そのなぜ彼が手塚治虫や大友克洋のようにパラダイムっつーか流派をなしてないかというと、
少年誌に描いてないこととロットリングを用いる技巧が真似るには敷居が高すぎるってことがあって、
やはりコロコロとかジャンプとかヤンマガとかそういった雑誌にのったキャラを子供たちが必死に模倣してその中からプロがあらわれてそっくりな絵柄で少年誌に連載してそれがアニメ化されてという拡大再生産がないと漫画史の流れを変えるまでにはいたらないのだろう。
それからもうひとつには、
テレビの司会したり AV つくったり、
こういうどうでもいい小品を生産したりして、
漫画に費やすべき才能と時間を浪費してるということがあるんではないでしょうか。
漫画描けよ。
2 週間で発給されるはずのビザが 2 か月待っても来ないよ。
日本に帰る潮時か。
``Media Control '' Noam Chomsky, Seven Sotries Press
亜米利加の社会は、
迷える大衆はスーパーボウルを観てるべし、
ちゃんと知的な支配階級がメディアを通じて操作してあげるから、
というしくみになっているのだそうだ。
どうもチョムスキーはスーパーボウルが嫌いなようだ。
``THE INCAL '' Alexandro Jodorowsky, Jean Moebius Giraud, Epic Comics
昔デューンを映画化しようとホドロフスキーとメビウスとギーガーとダン・オバノンが集まって、
結局製作費がつかなくて企画は流れたんだけど、
それが縁でギーガーとオバノンはエイリアンをつくり、
ホドロフスキーとメビウスはこの THE INCAL を描いたそうだ。
その後 THE INCAL を基にフィフス・エレメントができた、
と思うんだけど、
だってセット・デザインがメビウスだし、
主人公が落下するシーンは共通だし、
THE INCAL の副題は the fifth essence だし、
しかし THE INCAL もホドロフスキーの名もクレジットされてないな。
どうしてだろう。
それはそうとして、
話はちゃんと考えてから描くように。
ってメビウスとホドロフスキーにいっても無駄か。
ここ (東工大) に引っ越してきましたがこれも仮の宿です。
しばらくしたらまたよそに移るはず。
更新をサボってたらいつ何を読んだか忘れました。
以下思いつくままに順不同で。
「喪われた都市の記録 」 光瀬龍、ハヤカワ文庫
昔読んだ時は感動のあまり気づかなかったが、
いきあたりばったりのでたらめだよ、
この話。
「わが朝鮮総連の罪と罰 」 韓光煕、文藝春秋
いや、
これ読んだのは拉致とか核とかが話題になる前なんだけど、
桜の木を切ったのは私ですと正直に言ったのに褒められなかったので将軍様は撫然としているのではなかろうか。
それにくらべてこの韓光煕は、
実は総連はパチンコで儲けたとか実は自分は北の工作員上陸の手助けをしたとか実は祖国の宣伝は嘘ばかりだったとか、
誰でも知ってる当たり障りのないことばかり書いていて潔くないなあ。
``THE ATTACK OF THE GIANT BABY '' Kit Reed, Penguin Putnam
古本屋から amazon.com で買ったのだが、
飛行機の中に置き忘れて二冊買う羽目に。
「愛死 」 ダン・シモンズ、角川文庫
二歳の幼児を蹴り殺すとか洗面台におしつけて脚を折るとか不景気な昨今に無職父さん母さんのやり場のある怒りが炸裂する事件が相次いでいるが、
児童虐待が世間の怒りをとりわけかきたてるのは、
おそらくそうした衝動をみなひそかに共有するのだがおれも抑圧機構を働かせてじっと我慢の親であるのだぞこの野郎という、
強姦事件に対するのにも似た反応が生じているのであろう。
その証拠に What To Expect When You Are Expecting などの育児書には、
いらいらして子供を窓から放り出したくなったりするのは正常なことであると書いてある。
物語において悪役による強姦とその女の正当な所有者による復讐を描写して読者の性衝動とモラルを同時に満たすパターンと、
子供を殺された親が復讐を遂げるパターンは、
両方ともヒトの抑圧機構に共鳴するのだな。
で、
この真夜中のエントロピーベッドは子供を失うものの復讐には失敗するので読者は喪失感と罪悪感の中に情けないお父さんと一緒に取り残されるわけだ。
傑作。
「文壇アイドル論 」 斎藤美奈子、岩波書店
とりあげられているベストセラー乱発作家のほとんどを読んでいないことを確認して、
ふーん、
ひとつきに一冊本を読む大衆はこういうのを買ってるわけねと冷笑する読書の秋。
← 自分は何冊読んでるんだ。
「北京原人追跡 」 中薗英助、新潮社
20 年ほど前、
レイダース 失われたアークという映画を観て、
ぜった二作目は日本軍が相手だ、
北京原人の骨をめぐって関東軍と中共と国民党と米軍と大谷探検隊入り乱れて時代考証を無視した争奪戦をくりひろげ、
クライマックスは満鉄のハイテク機関車あじあ号上で時速 150
キロの列車アクションだと確信したものだが。
でも字の読めない米兵が骨の入った箱をどっかになくしちゃったというのが真相っぽいな、
これは。
「ディファレンス・エンジン 」 ウィリアム・ギブソン、ブル−ス・スタ−リング、角川書店
住民基本台帳コードを検索する歯車計算機。
線流形の蒸気自動車。
計算機を破壊するアルゴリズムの記されたパンチカード。
こんなに面白い設定でどうしてこんなにつまらない話が書ける。
大した事件も起こらんし。
「神罰 」 田中圭一、イ−スト・プレス
田中圭一は手塚治虫で、
しりあがり寿はカムイ伝の入浴シーンで性に目覚めたそうだ。
漫画なんか読んでいるとろくな大人にならないというのは確率 1 で本当のようだ。
よし決めたウチは漫画禁止。
「論理哲学論考 」 ル−ドヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン、藤本隆志訳、法政大学出版局
論理があまねく世界を満たすのは真実なのだが有理数が実数全体のほんのわずかな部分を覆うだけであるように
(なにしろ命題の数はたかだか可算無限個だし)
ここと指し示すことはできないが世界には論理から洩れる隙間がいたるところにあいていて、
聖ヴィトゲンシュタインがそれに気づかなかったはずはないが故意に無視してかような論理への信仰を常人にはほとんど理解不能な文章で激白するに至った動機には想像だがむしろ論理よりもそうした非論理に対する近親憎悪というか恥というか強い強いネガティブな思い入れがあったのではあるまいか。
だってこのひと変人で神経症的で自虐的で、
論理のみに生きられればどんなに楽かと常々思っていたにちがいないよ。
夜中に羞恥の発作に襲われて意味不明の叫び声を寝室に響かせ、
それでおよそあらゆる言葉は論理空間の一点を占めるだなんて夢想をノートに書き付けるんだ。
すいません感動しました。
こういう天才は二十代で夭折するものと思い込んでいたのだが結構長生きしてるんだな。
「アトランティスのこころ 」 スティーブン・キング、新潮文庫
タイトルはココロのボスの口調で。
ココロのボスは 1969 年版のもーれつア太郎でも 1990
年版でも八奈見乗児が演じているようなので、
あなたの脳裏に響くその声で世代間の意志疎通もシニフィエ的にオッケイのココロ。
読んでてどうもキングにしてはつまらんと思ったらやはり例のガンスリンガー物だった。
どうしてキングのファンタジーはどれもこれもこうつまらんかね。
誰か教えてほしいのココロ。
「ヘウレ−カ 」 岩明均、白泉社
なんというか、
基本的人権を尊重する古代社会だなあ。
人間という概念が発明される前の社会で、
一民草が権力者にタメ口きいたりすると命が危ないのでは。
でもハンニバルがカッコよく描かれてるから赦す。
「直観トポロジー 」 前原濶、共立出版
メビウスの輪の縁を糊付けして縁のない曲面を作る張り合わせ方は二通りあって、
片方はクラインの壷ができて、
もう片方からは射影平面ができる。
これらの他にドーナツがあるので、
閉じた二次元空間は全部で三種類あって、
二次元宇宙の果てまで行って内臓裏返しになって戻って来る確率は 3/6 ということか。
宇宙の縁を反対側の縁につなげる場合、
裏返すかそうでないかの二通りしかないので 1/2 になるのは当り前。
どうも我々の宇宙は空間的に閉じているらしくて、
そうするとアインシュタインの言うとおり望遠鏡を果てに
(長い時間) 向ければ頭の後ろが見えるはずだが、
縦横高さと三つも望遠鏡を向ける方向があるのだからそのうち一つくらいはつむじが逆回りに見えるといいな。
提供は小谷太郎 taro.kotani@gmail.com
でした。